歯科医院で作成できるマウスピースの種類とその効果とは?

    歯科医院でマウスピースを作成するときは、一人ひとりそれぞれの口や歯の形状に合わせて作成します。歯科のマウスピースはオーダーメイドで作成するため、しっかりと歯にフィットし、適切な位置に保持されやすいです。歯科で取り扱いをしているマウスピースは、一体どのようなものがあるのでしょうか?

    今回は、歯科医院で作成できるマウスピースの種類とそれぞれの効果についてお話しします。

    市販品のマウスピースとの違い

    マウスピースは歯科医院で型取りをして作るものと、ドラックストアや通販サイト等で販売されている市販品があります。市販品は通院などの必要がなく、思い立ったときにすぐに購入できる手軽な点が大きなメリットと言えますが、自分自身で歯型に沿うようにマウスピースをフィットさせる必要があるためマウスピース作成の難易度が高いです。万が一、きちんと合っていないマウスピースを使ってしまうと、つけていない時よりも歯にダメージを与える可能性もあります。

    歯科医院はオーダーメイドで作成できる

    歯科医院でマウスピースを作成するには、最低でも2回程度の来院が必要です。時間が取れない方やすぐにマウスピースが欲しいという方には、作成期間が数週間掛かってしまう点はデメリットと言えます。しかし、歯型をもとにしてマウスピースを作成するので、その方の歯並び・症状などに適したオーダーメイドである点が最大のメリットです。きちんと歯型に合ったマウスピースを作成できるため効果を実感しやすいです。

    マウスピースの種類

    歯科で使用されるマウスピースは、多様なお口の問題に対応するためにそれぞれ特定の用途と機能があります。

    ◉ナイトガード

    ナイトガードは、主に就寝中に歯ぎしりや顎関節症の症状を緩和するために使用されます。歯ぎしりは無意識のうちに強い力で歯をこすり合わせる行為で、これが長期にわたると歯の摩耗、破損、さらには顎関節の問題を引き起こす可能性があります。ナイトガードをすることで歯に加わる力を分散させ、歯と顎にかかる圧力を軽減します。その結果、歯の損傷を防ぎ、顎の痛みや頭痛を軽減する効果や顎の筋肉の緊張を和らげることで小顔効果も期待できると言われています。

    ◉マウスピース矯正

    マウスピース矯正とは、透明なマウスピース型の装置を使って歯を動かす矯正方法です。定期的にマウスピースを交換することで歯を少しずつ移動させて歯並びを整える効果があります。しかし、歯を大きく移動しなければならない場合や、歯並びが前後に大きく乱れているような場合は、マウスピースで矯正できないこともあります。 軽度の不正咬合の人、自己管理が得意な人、外食や間食が少ない人、金属アレルギーのある人にお勧めの矯正方法です。

    ◉スポーツ用マウスピース

    スポーツ用マウスガードは、相手と衝突する可能性が十分ある、相手との接触する距離が近いスポーツ特にコンタクトスポーツ(キックボクシングや柔道、ラグビーなど)を行う際に不可欠です。スポーツ用マウスピースは、直接的な衝撃から歯を保護するとともに、唇、舌、顎、そして顔全体の重大な怪我を防ぐ効果があります。衝撃が歯に直接伝わることを防ぎ、また、強い打撃があった場合でも歯が折れてしまうリスクや、顎の骨を骨折するなどのリスクは大幅に低減します。

    ◉睡眠時無呼吸症候群用マウスピース

    睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療に用いるマウスピースは、スリープスプリントとも呼ばれます。睡眠中に、上顎よりも下顎が前方へ数mm移動した状態に固定することで舌が喉の奥に落ちづらくなるので、舌の位置が上がって気道が広がり、いびきや無呼吸の発生を防ぐ効果があります。マウスピースの装着中は口呼吸がしづらいので、鼻呼吸の習慣付けにも役立ちます。

    マウスピースの材質

    マウスピースは、その用途と機能に応じてさまざまな材質で製作されます。以下はマウスピースに使用される主な材質です。

    シリコン

    柔軟性があり、快適で装着感が非常に良いため、長時間の使用に適しています。シリコンは、アレルギー反応を起こしにくい材質であるため、アレルギーのある方や敏感な方にお勧めです。ただし、柔軟性があるために耐久性には劣る場合があります。

    アクリル

    硬質で耐久性が高いため、歯ぎしり用ナイトガードによく使用されます。アクリルは長持ちするため、激しい物理的ストレスに耐えることが可能ですが、装着感の違和感が強い傾向にあります。

    熱可塑性プラスチック

    この材料は体温で柔らかくなる特性を持ち、口内に入れると体温で形が変わり、歯にぴったりとフィットします。カスタマイズが容易で、装着時の快適さを最大化できるため、睡眠時無呼吸症候群用のマウスピースなどに使用されます。

    マウスピースの取り扱いのポイント

    マウスピースの取り扱いには、正しい使用と保管が必要です。以下のポイントに注意して、マウスピースの効果を最大限に保ち、長持ちさせましょう。

    使用後は水またはぬるま湯でよく洗浄する

    60度以上の熱いお湯や熱湯洗浄器を使用すると、マウスピースが変形したり劣化したりする可能性があります。水もしくは40度以下のぬるま湯を使用して洗いましょう。その時にマウスピース専用の洗浄剤を使用することで、より効果的な洗浄が可能です。

    湿った状態で放置しない

    洗浄後は自然に空気乾燥させ、直射日光や高温を避ける場所に保管してください。水分が残っていると、雑菌やカビの繁殖が促進される可能性があるため、しっかりと乾燥させることが重要です。

    ▶︎ハードタイプは乾燥に弱いため注意が必要

    ハードタイプのマウスピースの場合は、乾燥すると変形や、割れる原因になってしまうため水中保管が推奨される場合があります。歯科医院の指示に従い保管してください。

    専用のケースに入れて保管する

    マウスピースは、専用のケースに保管しましょう。そうすることで、埃や汚れから保護し、形状が崩れることを防ぎます。また、保管場所はペットや子供の手の届かない場所や直射日光の当たらない場所がお勧めです。

    必要に応じて調整や交換する

    時間とともにマウスピースは摩耗や変形を起こす可能性があります。定期的に歯科医院で定期検診を受け、必要に応じて調整や交換を行ってください。マウスピースは使用頻度や目的によりますが、1年から2年ごとに交換するのが一般的です。スポーツ用はもっと頻繁に交換が必要な場合もあります。

    まとめ

    歯科で作成できるマウスピースは歯ぎしりや顎関節症の症状を緩和するための「ナイトガード」や「矯正用」「スポーツ用」「睡眠時無呼吸症候群用」マウスピースなど様々な種類があります。

    正しいマウスピースの選択と使用は、お口の健康を維持するために非常に重要です。個々のニーズに合った最適なマウスピースを選ぶために、それぞれの違いやメリットデメリットを理解したうえで作成することをお勧めします。作成した際は、マウスピースの効果を最大限に保つためにも取り扱いに大切なポイントを参考にしてみてください^^

    記事監修 Dr.堀内 啓史
    堀内歯科医院
    院長 堀内 啓史