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知覚過敏ってなに？
知覚過敏は、正式には「象牙質知覚過敏症」といいます。本来ならば、エナメル質によって覆われ守られている象牙質が何らかの理由で露出してしまうことがあります。その状態で熱いものや冷たいものを口にしたときに刺激となり、象牙質にある無数の「象牙細管」を通って中の神経に伝わって、しみるような痛みを感じてしまうことを知覚過敏と言います。
知覚過敏の原因
知覚過敏は、歯周病や加齢などにより、歯の根元の部分の象牙質が露出して起こります。歯は、健常な状態であれば象牙質はエナメル質と歯肉に覆われていて、冷たさなどの刺激から守られています。しかし、歯周病が進行したり加齢や不適切なブラッシングや不正なかみ合わせなどで歯ぐきが下がってしまうと、歯の根元の部分の象牙質が露出していまいます。
知覚過敏が起こす負のスパイラル
知覚過敏になると痛みのために歯みがきが十分にできなくなり、歯垢が蓄積してしまいます。すると、蓄積した歯垢に潜む細菌が出す酸によって、露出した象牙細管がさらに広がって刺激を感じやすくなり、痛みがますます強くなってしまいます。そうなると、さらに歯垢が蓄積して、虫歯や歯周病が発症したり悪化するなど、悪循環を繰り返してしまいます。
知覚過敏と虫歯の違い
どちらも冷たいものや熱いもの、そして甘いものを食べた時に歯がしみる症状がみられますが、それぞれには違いもあります。自分がどちらの状態なのかを見分けるためには、以下の点を参考にしてみてください。
痛みを感じる長さ
知覚過敏は、歯が冷たさや接触による刺激を受けた時に一時的な痛みが生じます。長くても10秒で収まる場合は知覚過敏の可能性が高いです。虫歯の場合は慢性的・持続的な痛みです。数十秒にわたって痛みが続く場合は虫歯の可能性が高くなります。痛みの長さは、わかりやすい判断基準の一つになります。
歯を軽く叩いた場合
知覚過敏の場合は、歯を叩いても痛みはありませんが、虫歯の場合は響くような痛みを感じます。
痛くなる場所
知覚過敏は、臼歯部（きゅうしぶ）がなりやすいと言われています。虫歯は、特定の部位はありません。※人によって個人差があります。
知覚過敏のケア
知覚過敏にならないようにするには、適切なブラッシングで歯の象牙質の露出を防ぐことが基本です。前回の記事で正しい歯磨きの3つのポイントをご紹介しているので、ぜひ歯磨きの時の参考にしてみてください。知覚過敏で歯がしみる時には、冷たい水ですすがず、ぬるま湯などを使いましょう。
強すぎる歯ブラシ圧は知覚過敏の原因
歯を磨く力が強すぎると歯ブラシの毛先が開き、動きが止まってしまうため、プラーク（歯垢）が落ちにくくなります。強すぎる歯ブラシ圧は、歯の表面や歯茎を傷つけてしまい知覚過敏の原因になります。歯や歯茎を傷つけないためにも歯ブラシは、やわらかめの毛の歯ブラシを使うのがオススメです。
軽い力で丁寧に磨きましょう
歯をきちんと磨けていないと知覚過敏になる可能性が高くなり、虫歯や歯周病にもつながってしまいます。歯の表面だけでなく歯の細かい部分にも汚れは、溜まっています。1本1本の歯に毛先が当たるように丁寧に優しく磨きましょう。毛先が歯に当たっていれば、強い力で磨かなくても汚れはしっかり落とせます。
知覚過敏ケアハミガキ（歯磨き粉）がオススメ
知覚過敏ケアハミガキは、刺激の伝達を防ぐ薬用成分である硝酸カリウム（イオン）や刺激の伝わる象牙細管の入り口をふさぐ薬用成分、乳酸アルミニウムの配合で、歯が「しみる」のを防ぎます。
当院でもサンプルとして、「シュミテクト」をお渡しして継続的に使うことをお勧めしています。知覚過敏ケアハミガキを使っても症状が続く場合は、歯科医院で一度診てもらいましょう。
プロフェッショナルケア（歯科医院で行う予防・処置）
家庭でも知覚過敏の症状のケアは可能ですが、歯科医院で行う処置には次のようなものがあります。
フッ素やコーティング剤の塗布
フッ化物塗布をすることで、象牙質の再石灰化を促進してむき出しになっている部分を小さくします。また、象牙質の表面にコーティング剤を塗布して露出した象牙質を薬で覆うことによって外部からの刺激を遮断します。
レジン充填
コンポジットレジンという白いプラスチック素材の詰め物の処置を行うことで、むき出しになっている象牙質をカバーして、刺激を遮断します。
マウスピース作成
知覚過敏の最も大きな原因の一つが「歯ぎしり」です。歯ぎしりが原因の場合は歯ぎしりを治さない限り、知覚過敏も治りません。歯ぎしりによるエナメル質や歯へのダメージを「マウスピース」をすることによって防ぎます。また、かみ合わせが悪い場合も、歯に大きな負担がかかるため調整します。
神経を抜く
あまりにも痛みが強い場合の最終手段として、歯の神経を取る処置もありますができる限り行わない方が良い治療法です。歯の神経は、痛みを感じる以外にも歯に栄養を供給したり、細菌から守ってくれたり、温度差を感じるなど大切な役割があります。
歯の神経を抜く事で痛みは感じなくなりますが、これらの大切な役割が失われてしまい、神経を抜いた歯は健康な歯と比較して寿命が半分になるともいわれています。歯に痛みや違和感を感じたら、重症化する前に歯科医院で診てもらいましょう。
まとめ
強すぎる歯ブラシ圧は知覚過敏の原因になります。また、歯周病を予防をするためにも優しく丁寧なブラッシングを心がけましょう！
個人差はありますが、知覚過敏ケアハミガキ（シュミテクトなど）を使うことでしみるのを緩和することができるので、使用をオススメします。
症状がひどい場合は歯科医院で診てもらうようにしましょう。
記事監修 Dr.堀内 啓史
堀内歯科医院
院長 堀内 啓史